春、公園や空き地など至る所で見かける、ピンク色の花を咲かせる雑草。それはきっと、「ホトケノザ」(仏の座)か「ヒメオドリコソウ」(姫踊子草)です。
この2つは何となく姿が似ているため、見分けがつきにくい時も…。ですが、よくよく見てみれば、似て非なる植物であることがわかります。この記事では、ホトケノザとヒメオドリコソウの見分け方を写真付きで紹介していきます!
ホトケノザ・ヒメオドリコソウと同時期・同じような場所で見ることができる春の雑草を、いくつかまとめてご紹介している記事はこちらです。
「ホトケノザ」と「ヒメオドリコソウ」の見分けがつきにくいワケ
上がホトケノザ、下がヒメオドリコソウです。ピンク色の小花や、赤みを帯びた茎の姿が似ているので、遠目に見るとどちらがどちらかわからないこともしばしば。全体像が何となく似ているんです。
どちらもシソ科オドリコソウ属に分類されていて、性質的にもよく似た植物であることがわかりますね。また、いずれもヨーロッパ原産の帰化植物です。ホトケノザは、有史以前のかなり古い時代にすでに日本に入ってきていたと考えられています。
これは私の個人的な考えですが、ホトケノザの方が一般的な知名度が高く、このような花を見たら、皆一様にホトケノザだと勘違いしてしまう方が多い気もします。
なぜ、ホトケノザとヒメオドリコソウが似ているように感じてしまうのか、いくつか理由をピックアップしてみました。
花が似ている
この写真はホトケノザの花ですが、両者ともピンク色の小さな花を付けます。この花の形や色が似ているため、見分けがつきづらいんですね…。
この花は、シソ科特有の「唇形花」というもの。他にこの花を咲かせる植物は、シソ科のミントなどがあげられます。上唇と下唇があるようにみえることから、唇形花と呼ばれています。
花の色や形がやや似ていることが、ホトケノザとヒメオドリコソウを間違えやすい原因の一つです。
育つ場所・環境が同じ
春になったらぜひ足元に注目してもらいたいのですが、2種は同じ場所に生えている確率がかなり高いです。写真はある河川敷で撮影したもので、ピントが合っていませんが手前がヒメオドリコソウ、奥がホトケノザです。
公園・空き地・河川敷・道端などなど。「あっホトケノザがある!」と思ったら、近くにヒメオドリコソウが高確率で生えています。(逆も然り)生育に適した場所が似通っているようです。
そのため、一見すると同じ植物が群生しているかのように見えるので、ホトケノザとヒメオドリコソウの区別がつきにくくなってしまうのでしょう。
花期が同じ
ホトケノザもヒメオドリコソウも、花を咲かせるのは2~5月です。同じ時期に、同じような場所で花を咲かせているので、春になると咲くあのピンクの花=ホトケノザorヒメオドリコソウと思ってしまいます。
ちなみに、どちらも一年草であり、秋に発芽し幼苗の状態で冬を越します。そして、春が来たら、ほぼ同時に花を咲かせるのです。
「ホトケノザ」と「ヒメオドリコソウ」を見分けるポイント
上記の理由から混同しやすい、ホトケノザとヒメオドリコソウを見分けるポイントをいくつかまとめてみました。
葉の形
花や全体の草姿が似ているホトケノザとヒメオドリコソウ。葉の形に注目すると、簡単に違いを見分けられます!
上がホトケノザの葉、下がヒメオドリコソウの葉です。ずばり、ホトケノザの葉は円形、ヒメオドリコソウの葉はスペード形をしていますね。
葉の付き方も異なります。ホトケノザは、茎周りを一周するように葉が付きますが、ヒメオドリコソウの葉は4枚が対生で付いているんです。
また、ヒメオドリコソウは、葉が赤みがかった鉄サビ色をしていることも多いので、そこも見分けるポイントになります。
花の付き方・色
花の見た目が似ていると書きましたが、よく見ると花の付き方や色が微妙に違います。
上がホトケノザの花、下がヒメオドリコソウの花です。両者を比べてみて、花の付く位置が違うと思いませんか?ホトケノザの花は、頂点の葉の上に飛び出すように咲いていますが、ヒメオドリコソウは葉の下からひっそりと花が咲いています。
このため、ホトケノザの方が花の印象が強い植物です。ホトケノザの群生は、遠くから見るとピンクのお花畑のようにも感じられ、満開時はキレイです。ヒメオドリコソウの花の方が、控えめな雰囲気ですね。
個体差や生育場所によって異なるかもしれませんが、花の色は、ヒメオドリコソウの方がやや薄めの傾向に。花のサイズも小さめです。
花が目立つものがホトケノザ、と何となく覚えておくと見分けがつきやすくなるかもしれません。
雑草観察にあたって、1冊本を持っておくと便利です。数多の雑草本が発売されていますが、写真と情報量の多さ・わかりやすさではこちらの本がピカイチです!
まとめ
良く見れば違うけれど、なんだか紛らわしいホトケノザとヒメオドリコソウ。日本全国どこでも見ることができる雑草なので、見かけたらぜひどちらか判定してみてください。
「ホトケノザかヒメオドリコソウか判定ゲーム」は、暇つぶしや子供との遊びに良いかも?